閃光のように 第13話


スザクが寝返った!
ロイドが寝返った!
セシルが寝返った!
咲世子は味方だ!
C.C.は共犯者だ!
ナナリーはいわずもがな!
クロヴィスは傀儡だ!

うむ、順調だ。

着実に信頼できる味方が増えたことでルルーシュは気が緩んでいた。
特に絶対に味方に欲しかったスザクがあっさりこちらに来たのだ。
スザクがいれば、俺に不可能な事など無い!
もうブリタニアは手に入れたも同然だ。
フハハハハハハ!
そんな風に機嫌良く次の作戦の動の下準備をしていると、部屋の扉が開いた。
そこにいたのは肩をゆすらせ、腹筋が痛いと言いながら笑い転げているC.C.。
今度は何があったんだ?
ルルーシュはパソコンを閉じると立ち上がった。

「ククククク、プハハハハハハ!る、ルルーシュ、客だ。客が来ているぞ」
「客だと?」

お腹を抱えて笑い続けるC.C.の姿に嫌な予感しか感じない。
この女の笑いのつぼはいまいちわからないのだが、基本的にルルーシュが困惑する内容の時は特に大笑いしている気がする。
あと、ギアスを使った時は無条件で笑い出す。
ということはトラブルか?

「くくく。ああ、クロヴィスも来ているぞ?クハハハハハハ」

ありがたくない追加情報だ。
嫌な予感しかしない。
ルルーシュは笑うC.C.の手を引きながら階下に降りた。

「やあ、ルルーシュ。美しくなったね」

ソファーに座りロイヤルスマイルを浮かべているのは、出来れば絶対に会いたくはなかった人物で。
ルルーシュは思わず開けた扉を無言のまま閉ざした。

「・・・よし、戻るぞ」

俺は何も見ていない。
C.C.を掴む力が強くなるのも気のせいだ。
そんな動揺もおかしいという様にC.C.は笑い転げた。
背後で再び扉が開く。

「って逃げないで、ルルーシュ!」

踵を返し、背を向けているルルーシュに慌ててスザクが手を伸ばした。

「スザク、どうやら俺は疲れているらしい。おかしなものが見えたんだ」
「・・・う、うん。気持ちは解るけどね。現実逃避は駄目だよ」
「と、逃避などしてはいない!」
「ナナリーも、もう来てるんだよ?」

その言葉に、ルルーシュはくるりと反転するとC.C.の腕を力強く引き、スザクの体を押しながらリビングへ入った。
スザクの言葉通り、ソファーにはナナリーが座っており、その正面のソファーにクロヴィス、そして。
ああ、やはり夢でも幻でもないのか。

「・・・シュナイゼル、兄上。お久しぶりです」

そう、二番目の兄であるシュナイゼル・エル・ブリタニアがロイヤルスマイルを浮かべてそこに座っていた。
何だこれは。
最近幸運が続いていたから、その反動か。

「元気そうだねルルーシュ。所で、そちらの女性は君とどういう関係なのかな?」

顔は相変わらず笑みを浮かべているのだが、その瞳は僅かに細められ、じっとルルーシュの隣を見ていた。
そこには肩を震わせ、空いている方の手で口元を押さえ、笑いをかみ殺しているC.C.。 ルルーシュは混乱して忘れているが、C.C.としっかりと手をつないでいる状態なのだ。 久々に会った弟が女性と手を繋いでやってきた。
だからそう尋ねたのだが。

「彼女は・・・」

ルルーシュはどう説明するか悩んだ。

「将来を誓い合った仲だ」

C.C.は即答した。

「違います!ルルーシュの婚約者は自分です殿下!」

スザクはアピールした。

「婚約?どういう事かなルルーシュ」

シュナイゼルから笑みが消えた。

「そんな話、私は聞いていないよ。枢木、ルルーシュから離れなさい」

愛する弟に害虫がと、眉を寄せるクロヴィス。

「駄犬にはお仕置きが必要ですね、咲世子さん」

にっこり笑顔でどす黒いオーラを放つナナリー。

「かしこまりました」

咲世子もにこりといい笑顔だ。

「ジェレミア、あの駄犬に躾をして来てくれないか」

クロヴィスは命令した。

「イエス、ユアハイネス」

ジェレミアは厳しい表情で答えた。

「カノン」

シュナイゼルはゴミを見るような目でスザクを見た。

「イエス、ユアハイネス」

カノンはにやりと笑った。



----しばらくおまちください-----



「なかなかにぎやかだね」

シュナイゼルは笑みを崩すことなくそう言った。
部屋の中には倒れ伏すスザク。
C.C.も地味に被害にあい、今は部屋の片隅で膝を抱えて蹲っていた。
多少被害にあったが、あれよりはましだと笑みを消してじっとスザクを見た。
なんだろうなこの光景。
なぜかピンヒールを履いた咲世子がスザクの背にその足を乗せ、片手に鞭、もう片手にはスザクを縛るロープが握られている。
亀甲縛りにしようとしたら、ルルーシュがそれだけは止めてくれと涙目で訴えたため軽く手首を縛っている程度だ。
ピクリとも動かないスザクを心配しつつ、ルルーシュはナナリーの隣に腰を下ろした。さっさと話しを終わらせてスザクの手当てをしなければ。

「どうして、ここが?」
「クロヴィスが何やら楽しそうだったから、何をしているのか教えてもらっただけだよ」

その瞬間、ヴィ家の兄妹から身も凍るほどの殺気が一点に向けられた。

「ち、違うルルーシュ!ナナリー!私は何も話していない!」

フルフルと首を振り無実を訴えるクロヴィス。
必死なその表情に嘘は見えないのだが。
名前が出た以上何かやらかしたんだろうと、二人は敵意をむき出しにした。

「兄上!いつ私が教えたというのです!」

ルルーシュ達に無実だと説明するよりも、元凶に真実を語ってもらう方がいいと判断したクロヴィスは、隣に座る兄にそう尋ねた。
シュナイゼルは、ふむ、と頷いてから言った。

「昨日教えてくれたじゃないか。忘れたのかなクロヴィス」
「昨日ですか?兄上とこうして話をするのは1ヵ月ぶりだと思いますが」

意味が解らないという様にクロヴィスは眉を寄せた。

「そうだね。先月の舞踏会で会って以来通信での連絡もしていなかったね」

する必要性も無かったからね。
その言葉に、部屋の中は一瞬静まり返った。
昨日シュナイゼルにヴィ家兄妹の話をしたのはクロヴィス。
でもクロヴィスは話していない。
尚且つクロヴィスとシュナイゼルは1ヶ月間音信不通。
どういう事だ?

「・・・では、昨日どうやってクロヴィス兄さんから話しを聞いたのですか?」
「クロヴィス、昨日ジェレミアに電話をかけただろう?荷物を取ってきてくれないかと」
「・・・ええ、確かにジェレミアに掛けましたが」
「ルルーシュへのプレゼントだそうだね」

その言葉に、まさかと皆がジェレミアを見たが、この中で一番驚いた顔をしていたのがジェレミアだったため、ああ違うなと視線を戻した。

「まさかとは思いますが・・・盗聴ですか?」
「流石だねルルーシュ。やはりクロヴィスとは違うね」

正解だよとシュナイゼルは楽しげに頷いた。
勝手に盗聴しておいて、教えてくれたというのかこの兄は。
ルルーシュは軽くめまいを覚えた。

12話
14話